ご挨拶

七五三や成人式の髪飾りとして使われるつまみ細工は、四角い布をピンセットで折りたたんで花鳥風月を表現するかんざしが起源です。江戸後期の文化文政時代に町民文化として確立されたところから「江戸つまみかんざし」として現代では東京都の伝統工芸にも指定されています。
戦後の復興と共に日本が豊かになるにつれ、お節句など人生の節目を祝う席も華やかなものになっていき、一般の方も七五三や成人式などの際は綺麗なお着物に髪を結い、つまみかんざしを付ける人が増えていきました。
この頃はつまみ細工に限らず髪飾り職人も多数おり、生計も潤っていましたが、だんだんと生活スタイルそのものが変化していき、和装文化全体が縮小していくに連れて産業として成り立たなくなっていきました。

現在ではつまみ細工職人も減少が止まらず全国で10名を切るまでになってしまいましたが、その多くが既にご高齢であり技術の継承という問題は切実なものとなっています。
一方ではファストファッションに代表される海外での大量生産によるコストダウンから安価で簡単に楽しめる製品も流通しており、レンタルでその都度気軽に和装姿を楽しむ層もあります。
同時にインターネットの発展により、個人が自由に物作りを楽しみ、それをSNSで発信したり販売したりできる様になり、クラフト市場は急速に発展しつまみ細工製品もその中で新しい進化を遂げています。

こうした時代の狭間で私達は ”つまみ細工をメジャーなカルチャーにする” という理念のもと、色々な角度からつまみ細工を捉え、つまみ細工で何ができるかトライ&エラーを繰り返してきました。
今までつまみ細工を説明する際には「200年の歴史を持つ伝統工芸です」という言葉を使ってきましたが、今後はこれからの時代を見据えて「過去」ではなく「未来」につまみ細工がどうなっていくのか?どうなるといいか?ここに繋がる様な紹介の仕方を考えてみたいと思います。
つまみ細工は見る人・使う人の気持ちを優しくしてくれるだけでなく、ピンセットを持つ指先に神経を集中させて四角い布から色々なモチーフを作り上げることが精神を落ち着かせるという単なる造形物以外の魅力を持っています。
技術や物ではなく、カルチャーとして伝統工芸という名前にこだわらない、もっと素敵な表現が見つかるまで、さらに色々な角度からつまみ細工を見つめ直し新しい文化として長く後世に伝えていきたいと思います。

一般社団法人つまみ細工協会
代表理事 鴨下正次郎

一般社団法人つまみ細工協会

住所〒111-0051 東京都台東区蔵前4-11-2 ジュピターファイブビル2F
電話・FAX03-4360-3294
メールinfo@tsumami-j.com
ホームページhttps://tsumami-j.com

目的・定款

当法人は、伝統あるつまみ細工(薄絹や薄布などの小片を折り、摘んで糊付けしながら花鳥や蝶などの形をつくるもの。)文化の正しい普及及びその興隆発展に寄与することを目的とし、その目的に資するため、次の事業を行います。

  • つまみ細工文化に関する諸種の研究調査及び教授
  • つまみ細工に関する講習会及び検定試験の開催
  • つまみ細工に関する人材育成のための教育機関
  • 前各号に捧げる事業に附帯又は関連する事業

協会の理念(目的)

  • 日本の伝統工芸つまみ細工を、メジャーなカルチャーにする。
  • 伝統的な「つまみ細工の作り方」を世界の「つまみ細工作家・ファン」にお伝えする。
  • 伝統的な「つまみ細工の作り方」講座&教室を創設し「つまみ細工の資格制度」を構築する。
  • つまみ細工ファンのための会員制度の構築